( Projects )
消費者に単なる商品ではなく
「地域そのもの」を感じてもらう
体験イベント設計。
Issues
首都圏への情報浸透に立ちはだかる壁
京丹波町は、京都府の中央部に位置する自然豊かな町であり、黒豆や栗、牛肉などの農産物に代表される質の高い食材や、ワイン・地酒などの特産品を数多く有しています。しかし、その魅力が町外に十分に浸透しているとは言い難く、特に首都圏に向けた情報発信が課題となっていました。
従来型PRの限界とブランド価値再考の契機
これまでにも物産展や観光PRイベントを通じて京丹波町の魅力を紹介してきましたが、そうした従来型の施策はどうしても「商品販売中心」となりがちで、地域のストーリーや暮らしに根ざした魅力を深く伝えることは困難でした。町政20周年というタイミングでもあり、結果として「京丹波のブランド価値をどう高めていくか」という問いを考え直すこととなりました。
Solutions
東京で京丹波の魅力を多角的に体感する仕掛け
食と交流を切り口にした新しいアプローチとして「京丹波バル」を開催しました。単なる特産品販売ではなく、丹波ワイン ワイナリーレストランのシェフによる京丹波町産の旬の食材を使用したスペシャルメニュー、町の地酒やワインの飲み比べ、さらには町の取り組みを伝えるトークセッションを店内BGM的に生放送し、東京の地で京丹波町を立体的に体験できる場として設計しました。
イベント会場は路面に面しており、縁側スペースでは採れたて野菜の販売や町の取り組みを紹介する展示パネルをガラス越しに見ることができ、通りがかりの方のウォークイン来場にもつながりました。会場内では「こんなに美味しい野菜は初めて食べた」「お肉が驚くほど柔らかい」などの声が多く聞かれ、味覚から京丹波の魅力に触れた参加者が、そのまま食材を購入して帰られる姿も見られました。
統一された優雅さを演出する「アーチ型」
デザインは、アール・ヌーヴォーを意識してアーチ型をキーモチーフにして全体を構成しています。花や動物など有機的なオブジェクトを用い、産業革命以後の工業化に対して自然への回帰を指向する同運動と、今回の「自然豊かな京丹波の旬の酒や食材を食す」イベント体験がリンクすると考えたためです。この形状は首都圏の方が京丹波町を知るための「扉」として、Webサイトやムービー、当日の什器といった各所に展開しました。
京丹波町のタウンプロモーションは、仮説検証を重ねながらアジャイルに展開していく方針であり、今回の京丹波バルも首都圏や京都市内で形を変えながら継続的に実施していく予定です。